イマジカBS『ドランク・モンキー 酔拳』オーディオ・コメンタリー収録レポート
石丸博也(ジャッキー・チェン役)×とり・みき(マンガ家/吹替愛好家)
ドランクモンキー 酔拳

去る2017年5月22日、東京・新宿区の某スタジオでジャッキー・チェンをスターダムに押し上げた出世作にしてカンフー・アクションの名作『ドランク・モンキー 酔拳』のオーディオ・コメンタリー収録が行われました。スタジオに現れたのはジャッキーの吹替えでお馴染みの俳優、石丸博也さん。そして進行役は、洋画吹替の研究・愛好家としても知られているマンガ家のとり・みきさんが務めました。
以下は、そのコメンタリーからほんの一部ですが抜粋です。(実際のコメンタリーは、イマジカBSの放送でお楽しみください)
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とりみき(以下、とり):本日はジャッキー・チェンの声、もう完全フィックスといってもいいかと思います。俳優の石丸博也さんにお話をおうかがいします。

石丸博也(以下、石丸):(ジャッキー・チェンの声で)お願いしますー! イェー!

とり:おお、さっそく(笑)。日本ではフィックス(ある海外の俳優を特定の声優が担当する制度)といっても、テレビ局ごとに(担当する声優が)変わったり、時代によって変わったりすることもありますけど、ほぼ完全フィックスというのは石丸さんくらいじゃないでしょうか。ジャッキー本人も認めている“日本の声”ですので。今日は『ドランク・モンキー 酔拳』を再生しながら、当時のお話をおうかがいしていきたいと思います。

石丸:懐かしい!とにかく懐かしい。

とり:今回はフジテレビ版、1981年のゴールデン洋画劇場で流れた吹替版を使用しています。映画の公開は、香港では1978年、日本では1979年で『トラック野郎/熱風5000キロ』と併映だったんですよ。

石丸:この作品は、私がジャッキーの吹替えを担当した最初なんですけど、違和感なくうまい具合にアテられたんですよね。広東語とか東洋の言語はアテてにくいと言われるんですが、(自分に)合ってるんでしょうね。雰囲気的にもしゃべり方も。格好もつけてないし。

とり:演出が春日正伸さんですね。ジャッキーに石丸さんを起用したのは、春日さんのご判断だったのしょうか?

石丸:それは俳優側では分からないです。でも、たまたま『~酔拳』の前に『マジンガーZ』の兜甲児の役をいただいたんです。それも春日さんが演出でした。『マジンガーZ』の最初の頃は非常にヘタで……(収録が)終わった後にヤケ酒を飲んで帰った覚えがあります。

とり:春日さんは、たいへん厳しい演出をされる方だとお聞きしています。

石丸:そうなんですよ。だから『~酔拳』の役をもらった時は「失敗は許されない。絶対にうまくやって、文句を言われないようにしよう」なんて思いながらスタジオに行きました。そうしたら、怒られず、怒鳴られもせず、自分の中でも「うまくできたんじゃないかな」と。ただ、『~酔拳』をやった時は、(ジャッキーの吹替えが)その後何十本も続くとは夢にも思ってなかったわけじゃないですか。『~酔拳』1本限りと思っていたのが、「あれ、また? お、またか」ってジャッキーの声の仕事がいっぱい入ってくるわけですよ。今でもやってるんだけど(笑)。

とり:戦う時の掛け声も、ほとんどやられていますよね。

石丸:ほとんど全部。それも3回。当時はね、テスト、ラステス(ラスト・テスト)、本番って、3回やるんですよ。だからジャッキーも汗かいてるけど、こっちも汗かくんですよね。

とり:ジャッキー本人に会われたのは?

石丸:3回か、4回ですね。最初はフジテレビの『夜のヒットスタジオ』でしたね。僕は別の仕事をしてたんですよ。そしたら「ジャッキーが来るから、とにかく会いに行ってくれ」と言われまして。彼は部屋に入ってきただけで明るくなるようなオーラがあって、やっぱり他の人とは違いましたね。

とり:ジャッキー・チェンの吹替えを長年続けられていることについて、抱いている想いなどがあれば教えてください。

石丸:ジャッキー自身の成長とか、(映画の舞台となる)いろんな国の成長とかを感じますね。彼の映画も、作品を重ねるごとにどんどん進歩していますよね。その辺を(リアルタイムで)見ることができたというのは、ひとりの俳優の声をずっと演じさせてもらったことで、勉強になったというのかな。時代も人間も日々進歩しているんだということを思いますね。

とり:貴重なお話をたくさん聞かせていただきました。ありがとうございました。

石丸:ありがとうございました。
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開口一番、ジャッキーの声で「お願いしますー!」と挨拶する石丸さんに、とりさんやスタジオにいるスタッフはのっけから感無量に。ジャッキーのスピーディな立ち回りに合わせて身振り手振り状態で汗だくになってしまっていたという『~酔拳』吹替え時、ジャッキーと対面した際の様子、俳優デビュー間もない頃、70~80年代のアフレコ業界のエピソードなど、さまざまな話を快活にユーモラスに語ってくれました。対するとりさんも石丸さんの業績を詳細に調べ上げていて、ご本人も驚くことしきり。これでテンションがさらに上がったのか、休憩時間にも愉快な話を披露してくれる石丸さん。どこまでも楽しい収録となりました。
イマジカBSでは、上記のコメンタリーの完全版を『ドランク・モンキー 酔拳[吹替版]』の副音声でお楽しみいただけます。放送時間めいっぱい喋り倒し、楽しいお話と業界秘話が満載のコメンタリーを、ぜひ放送でお楽しみください!

(取材・文:平田裕介)

[イマジカBS 特別企画]
『ドランク・モンキー 酔拳[吹替版]』では、副音声にて「石丸博也×とり・みき」新規録りおろしコメンタリーをお楽しみいただけます。

放送予定:
2017年07月07日(金)・夜9時~夜10:45
2017年07月09日(日)・朝10:45~昼12:30
2017年07月22日(土)・夜7時~夜9時

2017年6/29(木)~7/28(金)のイマジカBSでは「吹替偉人伝」の超拡大版を「吹替偉人伝まつり」として放送!毎週木曜・金曜に5週連続で合計26作品を放送!お見逃しなく!
詳しくは番組ホームページにて
ドランク・モンキー酔拳