2017年6月イマジカBSにて、『ロッキー』日本公開40周年記念特集!

イマジカBSでは、TBS系「月曜ロードショー」でノーカット放送された『ロッキー』(1983年10月3日放送)と同じくノーカット放送の『ロッキー2』(1984年10月8日)の超レアな吹替版(いずれも現時点でソフト未収録)を、6月29日(木)に連続放送します。
その放送に合わせて、シルヴェスター・スタローン演じるロッキーの吹替えを担当した羽佐間道夫さんが、『ロッキー』の名場面を紹介する特別番組のナレーションに登場!
ロッキーイマジカBS
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羽佐間道夫さんに、当時の吹替えの思い出と、改めて『ロッキー』という作品の凄さを語っていただきました。

——特別番組ではナレーションをご担当していただき、久しぶりにこの『ロッキー』という作品に触れていただいたかと思います。ご感想はいかがだったでしょうか。
羽佐間道夫さん:ハリウッドのチャイニーズシアターに『ロッキー』がアカデミー賞作品賞に輝いたときのトロフィーのレプリカやスタローンの手形があってね。ただ残念なことに、彼はまだアカデミー賞の主演男優賞を獲っていないんだよね。彼はまだロッキーの人生を描くつもりがあるように感じたので、『クリード』の続編を作るなどしてロッキーの最後の姿を描いて、主演男優賞を獲るかもしれないね(笑)。

——スタローンは『ロッキー』シリーズはすべて自分で脚本を書いています。アクション俳優でもありながら、繊細な人間ドラマを盛り込んだり、ストーリー・テラーとしても非常に才能を感じます。
そうですね。個人的には最初の『ロッキー』が一番面白いと思います。サントラ音楽も同時進行で作ってたらしいね。第一作は本当にスケジュールがタイトで、3週間から4週間で作った映画でしょ。スタローンが長い間企画をあたためてから製作された映画だけれど、プロダクションに「この製作費じゃ、お前に払うギャラが足らない」って言われて、仕方ないから出来高の印税方式にしたところ、びっくりするような金額になっちゃったと、そう聞いています。まさに「アメリカンドリーム」を地で行く展開ですよね。

——今回の企画の目玉がTBSの月曜ロードショーで初回拡大枠で放送された、本編ノーカットの吹替え版の放送です。どういった経緯で羽佐間さんがスタローンの声に決まったのでしょうか?
月曜ロードショーを放送していたTBSで、かつて海外ドラマの『コンバット!』というドラマシリーズをやっていて、そこに僕も声優の一人として出演していました。月曜ロードショーのプロデューサーが同じ人で、その流れでキャスティングされたんじゃないか、と自分では思っているんです。『スター・ウォーズ』などで有名なハリソン・フォードの声も、『パトリオット・ゲーム』や『6デイズ/7ナイツ』など何本かやったことがありますが、その後で、もっと素晴らしい人が声を演じるようになりましたね。今になって、ようやく自分の年齢にあった役をやらせてもらえるような気がします。海外ドラマの『ハウス・オブ・カード』ジェラルド・マクレイニー、『Dearダニー 君へのうた』のアル・パチーノなんかだね。昔だったら、演技に必要以上に力が入ってしまったかもしれないですが、年齢の近い俳優の声は、今では普通に演じることができます。演じていて面白かったのはダニー・ケイ。二枚目じゃないほうが、僕の声はしっくりくるんでしょうね。ちょっとコミカルで、どこかに弱さがあって、それでいて軽口を叩くような役。そういう意味では、『ロッキー』には最後まで抵抗していましたよ(笑)。

——でも多くの方に受け入れられましたね
なんで受け入れられちゃったんだろう(笑)。

——『ロッキー』でのスタローンの最初の頃の、粗野で不器用な感じは、羽佐間さんの声が合っていると思います。
普通なら、作品のトーンに合わせて向こうの俳優に合わせる、つまり“化けよう”とするんですよ。でも、そうすると失敗するんだな。僕も声を出すのに色んな苦労をしたけど、やっぱりそういう声の出し方、演じ方をするとうまくいかないこともある。発声するほうにばかり力が入っちゃうから。もしロッキーに僕の声が合っているという評価があるならば、それはキャラクターの心を表現できていたからかもしれない。そういった心の機微を声で表現できるようになるには、やっぱり年輪を重ねていくことかなあと思います。
40代、50代の方で良い声を出す人たちが沢山いますが、彼らがあと15年ほど年輪を重ねたら、もっとすごい力を発揮するようになりますよ。

——お相手役の松金よね子さんはアニメやコメディが多かったので、ロッキーの妻役には珍しい印象を抱きました。
彼女はテアトル・エコーという劇団で活躍していて、芝居も上手い女優だったので、『ロッキー』の共演でも何の抵抗もなかったね。『ロッキー』の演出をされた伊達康之さんの結婚式では、『ロッキー』つながりで僕と松金さんで司会をしましたよ(笑)。

——『ロッキー』の吹替収録について思い出があれば教えてください。
当時の吹替は、端役に至るまで良い役者たちが演じてましたね。千葉耕市さん(ミッキー役)みたいな声の方、今はいませんね。賢坊(内海賢二さん)もアポロにピッタリな声だし。賢坊とは『俺がハマーだ!』でも一緒だったし、いつまでも元気でいて欲しかったな。

——今活躍されている若手声優さんについて、アドバイスをお願いします。
最近の若い人に対して、一つだけ気になることがあるんですよ。“邦楽”のリズムが体の中に埋まってない。つまり、芸能で言えば講談や浪花節、漫才に落語、そういうジャンルが、あまり身に入っていない。人間を表現するには落語のような世界から育まれたものが必要じゃないかな。いわゆる三味線、尺八文化に、あまり触れてこなかった人たちが多いような気がします。外国映画にそんなものは必要ない、と言われればそれまでなんだけど、日本語はやっぱりそこからだと思うんです。山寺宏一さんも落語研究会だった。俳優の風間杜夫さんは落語家としても活躍している。ウチの事務所の近石真介もそうだけど、邦楽が基礎になっている方は、外国映画で声の演技をしても、決して違和感はないと感じますね。

——最後に視聴者へ向けてメッセージをお願いします。
この『ロッキー』の吹替版はTBSで制作しましたが、全ての局で放送が行われたと記憶してます。局をまたがって同じ吹替えが放送されることは、当時としてはすごいことで、それだけ視聴率が取れる作品だったんだろうと思います。
作品の中に流れる一種の憧れというか、「頑張ればできるんだ!」というサクセス・ストーリー、妻を心から愛しているけれどどこか孤独な主人公、リングの中で殴り合うだけじゃなく人間も非常に良く描かれた作品です。そういった複雑な要素が見事に集約されているところが、このシリーズが今でも根強いファンを獲得している理由だと思います。
サラリーマンであっても、働く人はみんな闘争してますよ。リングで戦っているのと同じです。だけどふと自分を振り返ったときに、ロッキーという人物に一種の憧憬をもって、自分を重ね合わせることができるんじゃないでしょうか。ロッキーは英雄で憧れるような人物である一方で、リアルにいそうな存在だと思います。夢物語ほど遠くではなくて、誰もが夢を見ることが出来るような存在。それも人気の秘密じゃないかな。
それから、忘れられないのは「エイドリアーン!」と叫ぶシーン。これは視聴者の皆さんにも強烈な印象を残したみたいで、僕はどこに行っても「エイドリアーン」の一言をお願いします、と言われるんですよね(笑)。自分が紹介されるときに「ロッキーをやってる羽佐間さんですよ」と言うと相手が「あ、そうなんですか!」と反応する。『五つの銅貨』や『特攻野郎Aチーム』と言ってもピンときてもらえないのに『ロッキー』の名前を出すとすぐに分かってもらえるんです。『ロッキー』という作品の持つ、凄い力をそんなところでも感じますね。
今回はイマジカBSさんで、『ロッキー』シリーズを放送します。僕が声をアテた吹替版も放送されますので、ぜひ、観ていただき、録画もしていただきたいですね。

吹替え版放送日程
6/29(木)
夜9時~
『ロッキー』

声の出演:羽佐間道夫、松金よね子、富田耕生、内海賢二

夜11:10~
『ロッキー2』

声の出演:羽佐間道夫、松金よね子、富田耕生、内海賢二

深夜1:20~
『ロッキー3』

声の出演:羽佐間道夫、松金よね子、富田耕生、千葉耕市/槐柳二

6/30(金)
夜9時~
『ロッキー4/炎の友情』

声の出演:羽佐間道夫、松金よね子、富田耕生、若本規夫

夜10:40~
『ロッキー5/最後のドラマ』

声の出演:羽佐間道夫、松金よね子、亀井芳子、古田信幸

深夜12:30~
『ロッキー・ザ・ファイナル』

声の出演:羽佐間道夫、松金よね子、富田耕生、竹田雅則、高島雅羅
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