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『〽医者の~頭に~雀が~止ま~る~』

「〽止まる~筈だ~よ~藪だ~も~の~トテチンシャン」
…全国のお医者さんから怒られそうな歌の文句ですが、これは三味線の師匠だった祖母が孫の自分を膝に抱いて歌ってくれた都々逸。
子供あやすのに都々逸ってのは教育上どうかと思いますが、もうひとつ「〽坊主抱いて寝りゃ可愛ゆてならぬ~どこが尻やら頭やら~」てのも憶えてるので、それに比べりゃナンボかマシですか。

『ドクター・ストレンジ』

吉田Pのオススメふきカエル
©2016 Marvel All Rights Reserved.

1月27日より公開中
監督:スコット・デリクソン
出演:ベネディクト・カンバーバッチ キウェテル・イジョフォー
配給:ディズニー
公式サイト:
marvel.disney.co.jp/movie/dr-strange

天才外科医ドクター・ストレンジ。突然の交通事故により、神の手を失った彼を甦らせたのは─魔術。指導者エンシェント・ワンのもと、過酷な修行をかさね人智を超えた力を手にしたストレンジだったが、世界を破滅へと導く闇の魔術の存在を知ったとき、彼は壮絶な魔術の戦いに巻きこまれてゆく。しかし、“人を決して傷つけない”医者としての信念が、敵であってもその命を奪うことをためらわせる。彼は、いかにして闇の魔術に立ち向かい、人々の命を救うのか?

 

一方こちらに登場するのは藪医者どころか『神の手』を持つと称される天才外科医、その名もドクター・ストレンジ。ああ、スーパーパワーを身につけたから人呼んでストレンジなのね、と思ったらそもそも本名がスティーヴン・ヴィンセント・ストレンジなんですと。変な名前。
で、この先生、名前が名前だけにもともとそこらの医者とは格が違う。何たって天才ですから「俺に治せない病はない!」ってんで良く言えば自信満々、悪く言えば傲岸不遜。病院内をぶいぶい言わせながら闊歩しておりました。『白い巨塔』の財前教授みたい。

しかし好事魔多し、そんな彼を襲った突然の交通事故。両手の大怪我によりゴッドハンドを失ったストレンジは、神様から一転してタダの人になってしまいます。当然脳外科医は続けられず、じゃあせめて普通の町医者にでも、と思ってもそれはプライドが許さない。加えて今までさんざ威張り散らしてたもんだから世間様も同情してくれない。八方塞のストレンジ博士は八幡様へ願掛けに…じゃなくて東方へと旅立つのです。
何でもネパールの山奥にどんな怪我でも治してくれるありがたい魔術師が住んでるらしい、じゃあこの手ももしかしたら、と藁にもすがる思いで一路カトマンズへ。艱難辛苦の末にたどり着いた彼を迎えたのは偉大なる魔術師、エンシェント・ワンでした。

このエンシェント・ワン、原作コミックでは亀仙人みたいな爺さまなのですが、映画版で演じるのは女優のティルダ・スウィントン。この改変には「なんで原作ではチベット人の役を西洋人がやるんだ」と反対の声もあったようですが、ちょっと浮世離れした風貌の彼女(過去にも天使やら魔女やら吸血鬼やらを演じてます)には合ってるんじゃないですかね。
まあその導師様はストレンジを見るなり「ふむ、こいつは見どころがある」と踏んだようで、「手を治してあげる代わりに私の弟子におなんなさい」と持ち掛けます。こうして外科医ストレンジは「魔術師ドクター・ストレンジ」として、新たな一歩を踏み出すことになるのです。

吹替え版でストレンジの声を演じるのはベネディクト・カンバーバッチといえばこの人、の三上哲さん。何を隠そうテレビシリーズ『SHERLOCK(シャーロック)』で最初に三上氏をベネカンにキャスティングしたのは弊社なのですよ。むふふ(いや別に私が選んだわけじゃないですが)
その後すっかり三上ベネカンが定着したのは嬉しい限り。今回も嫌味な天才外科医から正義のスーパーヒーローへと変わっていくストレンジの内面を的確に演じられてます。

そしてストレンジの兄弟子であり相棒となるモルド(キウェテル・イジョフォー)を吹替えるのが小野大輔さん。そりゃ相棒が小野Dの声だったら頼りがいありそうだもんなあ。話が逸れますが小野Dは大ヒット中の長編アニメ『この世界の片隅に』にも主人公すずさんの幼馴染役で出演されてて、これがまたいいんですわあ。作品も本当に素晴らしいので未見の方はぜひ映画館へ(個人的に昨年観た映画の中でベスト1です)

閑話休題。
スーパーヒーローものには相応のヴィラン(悪役)が登場するわけですが、本作で悪の魔術師を演じるのはマッツ・ミケルセン。『007/カジノロワイヤル』で初めて見たときからある種異様な存在感がありましたが、その後あれよあれよという間にハリウッドでもビッグネームに。もともと故国デンマークでは“北欧の至宝”なんて呼ばれてましたがそりゃ褒めすぎだろうなんて思ってましたごめんなさい。
で、この至宝氏が今回は不気味な悪役を演じるのですが、吹替えは井上和彦さん。そう、テレビシリーズ『ハンニバル』で稀代の食人鬼ハンニバル・レクター博士を演じたマッツ、その日本語版で彼を吹替えたのが井上和彦氏で、そこからの起用です。前述の三上ベネカンもですが、こういうのってキャスティングした側からすると嬉しいんですよねえ。

さらに加えて話題のキャストが二人。エンシェント・ワン=ティルダ・スウィントンに樋口可南子さん、ストレンジの恋人であるクリスティーン・パーマー=レイチェル・マクアダムスに松下奈緒さんが参加。どちらもキャラ的にぴったりで、特に松下さんは『ゲゲゲの女房』の頃から「このしっかりした発声は吹替え向きではあるまいか」と薄々感じていたのです。いやホントですって。

そんな豪華キャストで吹替え版同時公開中の『ドクター・ストレンジ』。これも『アベンジャーズ』を核とした“MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)”に連なる一作で、見ておかないと次の次あたりの『アベンジャーズ4』とかにいきなりマントの魔術師が出てきて「これ誰?」となる可能性が大いにあります。努々お見逃しの無きようご注意ください。
(日本語吹替え版のスタッフ・キャストはこちら)
 

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三上ベネカンの原点。このシリーズは本当に面白いよねー。