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ふきカエ『荒野の七人』ユナイト配給NET土曜映画劇場版、って、はァ?どゆこと!?の巻

レッツ!コンバイン!!9月19日敬老の日、当チャンネルでは、懐かしの昭和のふきカエTV洋画劇場を美しい画質で蘇らせる「厳選!吹き替えシネマ」と、西部劇専門枠「シネマ・ウエスタン」が合体!

名付けて「厳選!吹き替えシネマ・ウエスタン」。

つまり、おなじみの娯楽西部劇を、昭和のTV洋画劇場で流れた懐かしの吹き替え版で放送する、ということ。
06:30 (吹)プロフェッショナル
08:30 (吹)決断の3時10分
10:30 (吹)マッケンナの黄金
12:30 (吹)夕陽のガンマン
15:00 (吹)続・夕陽のガンマン
18:30 (吹)荒野の七人

てなラインナップで、朝から晩まで丸一日やる所存であります!

再放送も含まれますが、今回の目玉としている新規タイトルが、ふきカエ『荒野の七人』なのです。これはちょっと個人的にも思い入れの深い作品でして、今回はこの作品について書かせてください。

飯森盛良のふきカエ考古学

これ、
ユル・ブリンナー………………小林修さん
スティーブ・マックイーン ……内海賢二さん
ホルスト・ブッフホルツ………井上真樹夫さん
チャールズ・ブロンソン………大塚周夫さん
ジェームズ・コバーン…………小林清志さん
ブラッド・デクスター……………森山周一郎さん
ロバート・ヴォーン ……………矢島正明さん
イーライ・ウォラック……………穂積隆信さん

という、毎度おなじみ「凄い!凄い!凄い!凄い!凄い!凄い!凄い!凄すぎる!!!」という相田ケンスケ絶叫が必要な級の、豪華と言うも愚かなオールスターキャスト。しかもこのTV放映時のカット部分を、大FOX様がDVD発売時に追加収録して補完してくれてるという、いわゆる“完声版(©吹替の帝王)”的な状態の完全無欠音源なのです。

あ、ちなみにMGM作品ですけどソフトはフォックスホームエンタさんから出てます。そのことについては後述。

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さて、早速いつもの通り、ふきカエ版の台本チェックといきましょう。表紙には、
飯森盛良のふきカエ考古学

NET 土曜映画劇場
荒野の七人(前編)

録音日 昭和48年12月25日(火)
放送日 昭和50年4月  日(土)

配給 ユナイテッド・アーチスツ・テレビジョン
制作 日本教育テレビ 10チャンネル

と記されています。

えーっと、ある世代以上の人はみんな知ってることなんですけど、ご存知ない方のために僭越ながら一応書いときますね。「NET」、「日本教育テレビ」、「10チャンネル」という見慣れない文字が並んでいますが、要はこれ今のテレ朝さんのこと。「テレビ朝日」になったのは昭和52年からなんだそうな。個人的には、もう生まれてるけどリアルタイムの記憶がほとんどないな。仮面ライダーとか見てたはずなんですけどね。スイマセン、東京12チャンネルも、さらには荻昌弘先生も、生まれてるけどリアルタイムの記憶はおぼろげにしか無いんですよ…そこらへんはタッチの差で間に合わなかった世代。これって結構なコンプレックス。

で、次は『土曜映画劇場』という記載。実は「映画」劇場ではなく「洋画」劇場、『土曜洋画劇場』というのが元々あって、それは淀長さんが解説をやられていて、のちに引っ越して『日曜洋画劇場』になったものですが、引っ越したら土曜に映画をやらなくなっちゃう、でも土曜の晩にもひきつづき映画やりつづけよう、ということで、『土曜洋画』の後継者として『土曜映画』ができ、日曜には淀長さんが引っ越されて『日曜洋画』をやっていた、という時期があったんです。つまり、10チャンには土曜も日曜も映画枠があったということですなぁ。ちなみに、土曜洋画劇場→土曜映画劇場→土曜ワイド劇場と、土曜21時の「土曜ホニャララ劇場」の系譜はなんと今日に至るまで連綿とテレ朝さんで継承されているのです。凄い!

さて、その、淀長翁が引っ越された跡地の『土曜映画劇場』で、この『荒野の七人』は2週連続で放送されたんですが、Wikipediaを見ると「NET版:1974年2月2日/2月9日の『土曜映画劇場』にて二回に分けての放送。」と書かれています。しかし今回入手した台本だと、放送日は「昭和50(1975)年4月某日」となっている。何日かは空白で書かれていない。4月の土曜にやることだけ決まってたんでしょう。

1974年2月放送なのか1975年4月放送なのか? 4月だとすると、録音日が2年前のクリスマスで、なんで収録してから放送まで1年半も寝かせてたのか? Wikiの2月説ならば、収録後2ヶ月でオンエア、ということなので納得いきますが。

これは多分きっと、この台本が再放送時のものだから、ということなのでしょう。

アトリエうたまるさんとこのデータベース(お世話になっております)で調べてみると、Wikiの上記の初回放送以外に、翌75年に04/12(後編)、04/05(前編)と再放送されたようで、この台本はその時のものじゃないか?という可能性大です。

にしたって、なんで再放送する時にわざわざふきカエ台本を刷り直す必要があるのか?要らねんじゃねえか!?問題というのがありまして、これ割とよくあるケースなのですが、ワタクシ、このことについての答を持ってません。つねづね不思議で仕方なく思っている、科学で説明のつかない、ふきカエミステリーであります。

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次に横文字の「配給 ユナイテッド・アーチスツ・テレビジョン」という記載。この会社がNETに番組配給をしたってことですな。「配給」って言うと映画館に映画を配給するイメージを皆さんお持ちでしょうが、TV局にTV番組として映画を配給することも「配給」と言いまして、手前どものようなCSの洋画専門チャンネルも、民放さんの洋画枠も、皆さんよく名前を聞くハリウッドのメジャー配給会社を筆頭に、各社さんから「TV番組」としての映画を「配給」されているのです。

でユナイテッド・アーチスツ・テレビジョン。いわゆるユナイト映画のことでして、ケツに「テレビジョン」と付くぐらいだからそこのTV配給部門なのでしょう。『大脱走』やボンド映画、『ロッキー』なんかの、誰もが知ってるような名作の数々で知られた、まぁ、ハリウッドのメジャー、あるいはメジャーに準ずる大きな配給会社・スタジオが、かつてあったんですな。ちなみに水野晴郎さんは日テレで『水曜ロードショー』を始められるまで、ここの宣伝部長を務められてました。

このユナイト映画、『天国の門』という大作が大コケしたためにブッ潰れてしまい、日本法人である日本ユナイト映画も1982年に閉鎖されてしまったのです。でも、本作をTV配給していた時点では、全然まだまだ余裕で健在だったのです。

あと余談ながら、ユナイテッド・アーチスツはライオンマークでおなじみMGMと繋がりが深く、後に合併してMGM/UAとなったりしてまして、この『荒野の七人』の冒頭にライオンマークが吠えているのもそういう理由。で、MGM作品のソフトを日本でリリースしているのは主に大FOX様なのですな。この映画も“帝王”フォックスホームエンタさんから出ているからこそ、追加収録なんて破格の手厚い扱いを受けることができたってワケ。ほんと偉業だな帝王は!

閑話休題。ということでして、つまりは、NETも、『土曜映画劇場』も、ユナイテッド・アーチスツも、すべて、今ではそのままの形・名称では存在していないわけでして、それぐらい古い、昭和の香り高いふきカエなのであります。

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不肖ワタクシがこの豪華ふきカエ版と出会ったのは、実はテレ朝でではなくフジテレビの高島忠夫さんの『ゴールデン洋画劇場』ででした。アトリエうたまるさんのとこのデータベース(毎度ほんとお世話になっております)によると1988年の2月20日放送で、ワタクシ飯森少年が映画を見るようになった直後、小6の頃の、これが人生初ウエスタンです。『七人の侍』見るより全然こっち先に見てる。

VHSに録画して何度も見ましたね。当時の小6のガキがやりがちな、TVの前にラジカセを持って行き、コンパクトカセットテープにテーマ曲をガチャッと録音し、巨大なウォークマンで聴く、ということまでやっていました。

ワタクシ昭和50(1975)年生まれでして、90年代ディケイドに15〜25歳の多感な時期を過ごした団塊Jr.世代ですので、ワタクシの時代には西部劇は完全に過去の遺物と化しており(父親世代が見るものでした)、まぁ『ダンス・ウィズ・ウルブズ』(90)と『許されざる者』(92)は別格の別枠として、普通の娯楽西部劇ということで言うと、『シルバラード』(85)とか『ヤングガン』シリーズ(88、90)とか『バッド・ガールズ』(94)とか『クイック&デッド』(95)とか、『ワイルド・ワイルド・ウエスト』とか『プランケット&マクレーン』(ともに99)とかぐらいしか、本気で作品がさっぱり思い浮かばないぐらい、リアルタイムでは西部劇なんて全然作られていない、寒い時代だとは思わんか時代の真っ只中だったのです。

飯森盛良のふきカエ考古学

タランティーノが出てきて『映画秘宝』が出てきて、マカロニ・ウエスタンが“悪趣味かっこいいもの”として肯定的に再評価されるのは、その後の話。今やタランティーノが『ジャンゴ 繋がれざる者』やら『ヘイトフル・エイト』を発表するような、数は作られないにせよ、ウエスタンの新作というだけで期待してしまう時代になりました。

来年には『荒野の七人』リメイク版『マグニフィセント・セブン』も公開されます。今度の七人はデンゼル・ワシントンにイーサン・ホーク、さらにはイ・ビョンホンといった面々。まぁデンワシ×イーサンというカップリングだったら、クリスがヴィンに完全に喰われちゃう下克上みたいな事態はどう考えても起きなさそうですな。で、それらキャストをまとめ上げるのが、骨太・硬派で知られるアントワン・フークア監督(『トレーニング デイ』、『イコライザー』)と、こいつは楽しみだ!な期待作。

デンワシをふきカエルのはあのお方だろ? イーサン・ホークはあのお方なのか? ビョン様はどちらのお方がやられるのか?と、ふきカエのキャスティングが明らかになるのも待ち遠しい!

日本では2017年1月27日公開。って韓国では9月14日世界初公開なのかよ!ビョン様出てるからか?いいなぁ〜羨ましいなぁ〜。皆様、新春、ふきカエでやってるどこかのシネコンで会いましょうね、サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ!

追伸:前回書きました『さすらいの航海』は10月に放送が決定しました。