ヒストリーチャンネルにて『ROOTS/ルーツ(2016)』、8月22日(月)23:00~日本初放送スタート!(全4話)
次回放送予定:
第1話⇒11/10(木)昼2:30~・深夜4時~、15(火)朝7時~、19(土)深夜2時~
第2話⇒11/17(木)昼2:30~・深夜4時~、19(土)深夜4時~、22(火)朝7時~
第3話⇒11/20(日)深夜2時~、24(木)昼2:30~・深夜4時~、29(火)朝7時~
第4話⇒11/20(日)深夜4時~

『ROOTS/ルーツ(2016)』クンタ・キンテ役の櫻井孝宏さんと、オリジナル版でクンタ・キンテ役を演じ、今回の『ROOTS/ルーツ(2016)』ではその父親のオモロ・キンテ役を演じた池田秀一さんにお話しを伺いました。

ルーツ

——まずは今回の作品でそれぞれ演じられたご感想をお願いいたします。
池田秀一さん(以下:池田):オリジナル版でクンタ・キンテを演じて、それから40年経って今度はクンタのお父さんをやらせていただいたわけですが・・・もう40年経っちゃったんだなぁと感慨深いものがありました。年相応となって、面白かったです。

櫻井孝宏さん(以下:櫻井):テーマがすごくシリアスな作品で、作品を通さないと知ることが出来ない事実が結構あるなぁと感じました。今回作品に携わってみて、今まで自分の中ではあまり無かった部分を、クンタ・キンテ役を通して色々知ることが出来てありがたかったです。感動もあるのですが、それと同じくらいに苦味とか悲しみなど負の感情も揺さぶられるような作品だと思います。

——70年代に社会現象を引き起こした『ROOTS/ルーツ』が新たに生まれ変わるという形で復活した理由・意義をどのように感じていらっしゃいますか?
池田:今でもアメリカでは警官と黒人の問題とかが取り上げられてますし、(最初に放送された)40年前とどこが変わったのかなというようなことを感じますね。40年前のオリジナル版とリメイク版とのメイキングを観させていただきましたが、視点が少し違いますよね。なぜ今、新たな視点でリメイクするのか、その意義というものが違いにあらわれているのかなと観ていて感じました。

——オリジナル版には無い歴史的描写が加わり、映像技術も当時出来なかったことが取り入れられていますよね。
池田:そうですね、CGもなかったですしね。僕は今回最初の2本目の頭くらいしか出ていないのでまだ全編通して観ていないので、これから観るのが楽しみです。

櫻井:オリジナルから40年経ってのリメイク版という点では、映像技術や表現技術的な面でもすごく進化していますし、あと一つ思ったのが、当時と今では描き方の幅が広がってるんじゃないかなと。オリジナルの方は船長の葛藤が描かれていたシーンがあったのですが、新たに作られた方はそういったシーンがなかったり、白人といわれる人たちと黒人といわれる人たちの歴史的背景の中で、今だからこそよりリアルに史実の通りに描けるという年月を感じます。当時はまだもう少し白人にはこういう葛藤があり黒人にはこういう苦しみがあったという対比がありましたが、今回は割と徹底して事実を突きつけるような映像になっているなと思いました。残虐なシーンも目を覆いたくなるシーンもあるので、そこに年月による表現の幅が生まれたのかもしれません。やはりオリジナル版の生々しさは今観ても魅力的だなと思います。

——マラカイ・カービーさんが演じる本作のクンタ・キンテについてどのように感じますか?
池田:今回、イケメンですよね(笑)。レヴァー・バートンさん(オリジナル版クンタ・キンテ役)には悪いけど(笑)。実は20年前レヴァー・バートンさんにお会いしたんですよ。そのときの彼は本当に素朴でね、新人だったということもあるんですけれども、キャッキャと「日本に来てうれしい」と言ってましたし、すごく好感が持てました。
新作の『ROOTS/ルーツ』のキャスティング、リメイク版のクンタ・キンテを見たときも77年版と違うんだな、以前とは違うなと思いました。同じ話をするんだけれども、話のもっていき方というか視点が違うなと。でも、第1話で鞭打たれるシーンがあって「俺はクンタ・キンテだ、俺はクンタ・キンテだ」って訴えるけども、最後に「トビー」と言わされるシーンがあって、そこは今でも40年前を思い出しますね。

ルーツ櫻井:初めにクンタが登場したとき、あどけなさもあるのですけどオーラがあるんですよね。他の仲間たちとは少し考え方が違っていて、もしかしたら少し偏屈な人なのかもしれないけどずっと戦士としての誇りを忘れないという男らしさや芯の強さはオリジナル版とリメイク版の両方に共通しています。でも本作ではすごく野性味というか躍動感といったエネルギッシュなイメージがあります。アフリカ生まれという強いマインドを感じました。あとイケメンだと思いました(笑)。

——櫻井さんは今回演じられるに当たって苦労された点はありましたか?
櫻井:オリジナルは40年も前の作品とは思えないくらい、大長編なのに一気に観られる作品で、意識するというよりはリスペクトが強い気持ちでした。新たな『ROOTS/ルーツ』で、オリジナルと同じシーンがでてくると、感慨深いものがありました。同時にこれだけ注目されている作品なのでプレッシャーはありました。長い年月一人のキャラクターを演じることがあまり経験がないので、どういう風に世代ごとのクンタ・キンテを生み出すかをポイントにしていました。

——『ROOTS/ルーツ』は40年前に日本でも大きな反響を集めた作品でしたが、池田さんのキャリアにとってどういう作品でしたか?
池田:当時、声の仕事はあまりやっていませんでした。映像の方の仕事をやっていたので、『ROOTS/ルーツ』が2本目か3本目に携わった作品でした。はじめて洋画の吹替えをやらせていただいたときに「俺はこの土俵にあがっちゃいけないな」と同時に「こんな疲れる仕事はやめよう」って思いました(笑)。そんなときに『ROOTS/ルーツ』の仕事をいただきまして、この作品に携わったおかげで「俺、もしかして声の仕事やってもいいのかな」という気になりましたね。この『ROOTS/ルーツ』という作品に巡り会えたことは僕にとってそのあとの声優の仕事をやらせていただけるようになったきっかけであったと思います。

——池田さんは櫻井さんのクンタ・キンテをご覧になりましたか?
池田:実は、収録を一緒にできなくて。さっきちょっと観たんですけど、たいへん結構でございます。楽しみにしております。

——それぞれ演じられた役の印象をお願いします。
池田:そうですね。オリジナル版に比べるとクンタ・キンテもイケメンですけど、今回のその父親のオモロ・キンテ役も洗練されてるなと思いました。40年前のお父さんはちょっと田舎くさかった(笑)。僕が40年前にクンタ・キンテを演じた際のお父さんのイメージがまだ僕の中であるんですよ。赤ん坊を抱えるシーンとかすごく印象に残っています。今回お父さんを演じて、「俺は俺でいいのかな」って思ってやらせていただきました

櫻井:役の見た目がすごく大人っぽく見えるのですが、子供らしいシーンや、大地とともに生きるという彼の奔放な感じは素敵だなぁと思ってやらせていただきました。後を考えると切なくなってしまうんですけど。目立つ存在だったんだろうなという気はしました。

——今回、親子役をやるときいたときの印象をおきかせください。
櫻井:ドキッとしましたね。『ROOTS/ルーツ』のルーツじゃないですけど、池田さんが元々オリジナルでクンタをやっていらっしゃったということで歴史を感じましたし、「これはやばいな」と必死になってお芝居をやらせていただきました。でも僕は幸いにも、今回アテるときには池田さんのオモロの声を聴きながら収録に臨めたので、僕にとって大変手助けになったというか、道しるべになってくださいました。

池田:『ROOTS/ルーツ』を新しくアメリカでつくっているという噂は聞いてはいたんですよ。それで日本語版をやるということで僕がでるんじゃないかと耳にして一瞬「俺もう16歳は無理だよ」なんて誤解してたんですよ(笑)。お父さん役ときいて「よかった」って(笑)。うん、でも・・・(クンタ役を)やれっていわれたらやったかな?

櫻井:僕は今でも池田さん全然いけるんじゃないかと思いますよ。

池田:いやいや(笑)。
先ほど僕らの掛け合いのところを観させていただいたんですけど、クンタからの愛情を感じることができました。

櫻井:ありがとうございます。

——櫻井さんはクンタ・キンテを演じる上で池田さんを意識していましたか?
櫻井:そうですねぇ、やはりリスペクトという感じですね。オリジナルを観させていただいて、自分がやるクンタよりずっと大人っぽいなと思ったんです。池田さんの色んな話をこの場で伺っても、今でも池田さんがクンタをやっても何も違和感無いと思っていて、それぐらい当時のお芝居が僕的にはすごく後押しになりました。あまり考えすぎて縮こまってしまってもなぁと思っていたので、そこは自分にしか出来ないことをのびのびとやらせてもらおうという気持ちで収録に臨みました。

——本作で他に演じてみたいと思ったキャラクターはいますか?
池田:僕はフィドラーだな。オリジナル版も良かったし、今回は40年前と比べるとフィドラーの立ち位置というか人物としての描かれ方がちょっと違うんだけど、あれはいいですよねぇ、切ないですよね。今でも覚えていますよ、40年前のフィドラーと別れるときの場面は。今はあっちをやりたいですね。

——櫻井さんならではのクンタ・キンテの見所を教えてください。
櫻井:オリジナルと比べるとより洗練されているというか、描かれ方が少々違うところがあります。映像的にも衝撃度が強いシーンがたくさんあり、痛みとか苦しみとか徹底して描かれていますし、そんな中でも小さな幸せもあって、そういう紆余曲折の中での彼のギラギラした野生生物のような「隙あらば逃げてやる、心までは囚われない」という感じをどこか自分ならではに描けたなと思いながら取り組んでました。少年時代から大人になるまでを駆け抜けて描かれるのですが、クンタ・キンテのルーツを遡ればすごく重いテーマですし、そこに囚われすぎないように意識しつつ自分らしさを表現したかなと思います。

——お二人にとっての”ルーツ”とはどういったものでしょう?
池田:僕はあまり大した人生じゃないんで(笑)。この作品によって日本に「ルーツ」という言葉が広がったとか日本人も自分の祖先を辿ってみようかとか一時ありましたよね。でもね、僕はめんどくさくてね、そういうことはしませんでしたね。生意気だったからね(笑)。ルーツは自分で作れよと勝手なことを思っている今日この頃です。

櫻井:この仕事をさせていただいて20年くらい経つんですけど、もとを辿ると中学の国語の授業の朗読で先生から「声優さんみたいな声をしているね」と言われたのが僕のルーツの根っこにあるかもしれないです。それで「そういう仕事があるんだ」と意識をしたり「自分にもしかしたらそういう可能性があるのかな」と思わせてくれました。中学の授業中に忘れもしないテラムラ先生が言ってくれたんですよね(笑)。それがすごく衝撃的でした。それまではお芝居とかには無縁の子供だったので、そういう世界があることをまったく意識していませんでした。先生の無邪気な一言がきっかけで、もしかしたら僕は今この場にいるのかもしれません。

——お二人をルーツとして役者や声優を目指している方々に向けて一言メッセージをお願いします。
ルーツ池田:最近の若い人たちは上手いですよね。がんばって欲しいと思います。でも僕とは時代が違いますよね。僕が演じたクンタ・キンテと櫻井くんが演じるクンタ・キンテは明らかに違いますし、違うというのはどうしようもないんです。どうしようもないというのは、例えば僕なんかは戦後生まれですが、近所に防空壕の跡があったりだとか学校でまずいミルクを飲まされたとかいう戦争の傷跡みたいなものがクンタ・キンテを演じるときに入っちゃうんですよ。僕はそういう経験をもっていますが、櫻井くんはまた別のものをもった上でクンタ・キンテを演じてくれればいいんですよ。自身の経験をのせることしかできないですから。40年前はね、「『おしん』のような話かな?」という感じがしましたね。単純に一言でやれと言われれば、僕は黒人の問題はわからないしわかった振りをしたって絶対わからないから。だから“おしん”みたいな感じのイメージを漠然と持ってやっていました。櫻井くんは櫻井くんでもっと深く考えてやっていたと思いますよ~(笑)。だから若い人たちは自分のものを作り上げていけばいいんですよ。彼らに僕は追いつかないし、でも彼らも僕に追いつくことはできない。僕の真似をすることは無いし、僕も若い人たちの真似をしようとは思わないのです。このまま朽ちていきます(笑)。

櫻井:僕は養成学校に通っていて、プロの方から教わってきたので、いまだにその時の先生の教えが残っているんですけど、自分の心に残っている言葉は「たどり着かなくても誰か一人は見ていてくれる。一人でもいるならその人のために全力でがんばる。演技をする者として一度その世界に足を踏み込むのであれば覚悟をもってやることがその人のプライドになる」というものでして、当時聞いたときはあまりピンとこなかったんですけど、仕事続けていく中で「少しわかるかも」と思い始めましたね。別に楽しそうだから、面白そうだからでもいいと思うんです。でもやるからには人から何を言われようが、それこそ自分でルーツを作っていけるようになればいいと思います。あまり難しく考えすぎるのもよくないかもしれないですね。

——最後に、本作を楽しみにしてくださっている視聴者の皆様に一言ずつお願いします!

池田:僕自身も楽しみにしているので、ぜひご覧いただきたいと思います。きっと良いものになっているはずです。よろしくお願いします。

櫻井:(オリジナルと)見比べるのではなく、並列に観てもらいたいです。同じ作品ではありますが、やはり違う部分は当然あるので。どうしても理解できない部分はあって、こういう作品を通してでしか知れないこともたくさんあるので、それをどう受け止めるかは観る人に委ねられると思いますが、自分が今生きている現実にも置き換えることが出来るようなシーンやセリフはあると思います。ぜひともたくさんの方にご覧いただきたいです。

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