吉田Dのオススメふきカエル

『実験室の天才監督 ジェームズ・キャメロンの軌跡』

15歳で『2001年宇宙の旅』に魅せられた少年は大学で物理学を専攻するも中退して映画の道へ。B級映画でキャリアを積みながら書き上げた一本の脚本が注目を浴び、自ら監督したその『ターミネーター』が世界中で大ヒットして一躍トップ監督の座に。“映画を作るために新しい機材を開発してしまう”と言われるほどの映像表現へのこだわりから“実験室の天才監督”と称される、彼の名はジェームズ・キャメロン。最新作となる『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』の公開に際して、彼のこれまでの軌跡を辿ってみましょう。

吉田Dのオススメふきカエル『ターミネーター』(1984)

監督:ジェームズ・キャメロン
出演:アーノルド・シュワルツェネッガー リンダ・ハミルトン

皆さんご存知、キャメロンの出世作。お馴染み♪デデンデンデデン♪の旋律に乗って登場したアーノルド・シュワルツェネッガーも一躍トップスターとなりました。本作の大ヒットを受けてその後シリーズ化されますが、低予算を逆手に取ったタイトなSFアクションとしてはやはりこの一作目が白眉でしょう。
そして本作の吹替え版はというと、テレビ朝日版・VHS版・DVD/BD版・テレビ東京版と、メディアが変わるたびに計4バージョンが作られています(古き良き時代…)が、初期のテレビ朝日・日曜洋画劇場版で主役を演じたのは大友龍三郎さん。そう、まだ現在の“シュワルツェネッガー=玄田哲章”という決まり役が確立される前だったのですね。極悪非道・冷徹無比の悪役である本作のシュワに、大友氏の人並外れた重低音はまさにピッタリでした。

 

吉田Dのオススメふきカエル『エイリアン2』(1962)

監督:ジェームズ・キャメロン
出演:シガニー・ウィーヴァー マイケル・ビーン

1979年に公開され大ヒットした『エイリアン』の、7年ぶりの続編。前作のリドリー・スコット監督は宇宙船という密室にエイリアンというモンスターを放つことで、往年のゴシック・ホラーとSFを融合させた全く新しいビジョンを作り上げました。その続編ともなれば当然ハードルが高くなるわけですが、キャメロン監督は作品のスタイルを一新。「今度は戦争だ!」というキャッチコピーの通り、エイリアンの大群と宇宙海兵隊が死闘を繰り広げる一大バトルアクションを作り上げたのです。これがもう面白いのなんのって、公開時に劇場で観たときはマジで腰が抜けるかと思いました。
そんなヒット作ですから当然テレビの洋画劇場でも引っ張りだこ、テレビ朝日の日曜洋画劇場に至っては放送する度に吹替え版を3回も(!)作り直すという力の入れ方で、TBS版やVHS、BD版まで含めると計6バージョンが存在するまさに“吹替の帝王”。中でも特筆すべきは1993年テレビ朝日版のアンドロイド・ビショップ役で、演じたのはあの城達也さん。グレゴリー・ペックや「ジェットストリーム」でお馴染みのあの端正な語り口が、無機質なアンドロイド役にハマっていたのは嬉しい驚きでした。

 

吉田Dのオススメふきカエル『ターミネーター2』(1991)

監督:ジェームズ・キャメロン
出演:アーノルド・シュワルツェネッガー リンダ・ハミルトン

こちらも『エイリアン2』と同じく、前作から7年の時を経てスケールアップした続編。未来からシュワルツェネッガー=ターミネーターが送り込まれてくる冒頭のシーンで「え?また同じことやんの?」と早とちりしたこちらの予想を見事に裏切って物語は二転三転、ラストまでノンストップで怒涛のアクションが展開します。もう面白いのなんのって、公開時に劇場で観たときはマジで腰が(以下略)
こちらも複数の吹替え版が作られていて、この頃のシュワルツェネッガーは既に玄田哲章さんが持ち役とされていたのですが、最初に作られたビデオソフト版だけは主役がなんと津嘉山正種さん。今回のシュワは前作と違い“ジョン少年の守護者”となる善玉の役なので、包容力のある津嘉山ボイスが求められたのでは、と推測しています。
ちなみに本作もテレビ洋画劇場の常連で、1995年にフジテレビ・ゴールデン洋画劇場で放送された「特別編」の視聴率28.0%は、不肖私が関わったテレビ吹替え版の中では自己ベスト(ちょっと自慢)。

 

吉田Dのオススメふきカエル『タイタニック』(1997)

監督:ジェームズ・キャメロン
出演:レオナルド・ディカプリオ ケイト・ウィンスレット

これまで挙げた諸作に加え『アビス』や『トゥルーライズ』など“男気溢れるアクション映画”ばかり撮ってきたキャメロン監督ですから、次回作が「タイタニック号の悲劇を舞台にしたラブロマンス!」と聞いたときの世間の反応は驚き半分、不安半分といったところ。いくら天下のジェームズ・キャメロンとは言え、あの俳優であの話ってのはあまりにベタすぎないか、と喧々諤々の中、いざ公開された作品は…そのベタなラブロマンスを真正面から堂々と描きつつ、それが豪華客船の沈没というスペクタクルと見事に融和して、映画史に残る一大モニュメントとなっていたのです。史上最多の11部門を獲得したその年のアカデミー賞授賞式で名前を呼ばれたキャメロン監督が登壇の直前、客席にいた盟友シュワルツェネッガーとガッチリ握手を交わしたのを見たときは不覚にも涙が…。もちろん作品は興行的にも映画史上歴代一位の記録を打ち立て、それを塗り替えたのは12年後に同じキャメロン監督が世に放った『アバター』でした。

その『アバター』から早や十余年。全世界待望の続編がついに公開されます。

 

『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』

吉田Dのオススメふきカエル

© 2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

監督:ジェームズ・キャメロン
声の出演:サム・ワーシントン ゾーイ・サルダナ
公式サイト:20thcenturystudios.jp/movies/avatar2

神秘の星パンドラの一員となった元海兵隊員のジェイクは、ナヴィの女性ネイティリと家族を築き、子供たちと平和に暮らしていた。再び人類がパンドラに現れるまでは…。神聖な森を追われた一家は、“海の部族”の元へ身を寄せる。だが、この美しい海辺の楽園にも、侵略の手は迫っていた…

前作の『アバター』は全世界でおよそ30億ドル(≒4千2百億円!)を稼いで、興行記録の歴代一位。近年やはり大ヒットした『アベンジャーズ/エンドゲーム』でもその王座は覆せず2位にとどまりました(ちなみに3位は『タイタニック』の22億ドル)。
そんなヒット作の続編となれば期待が高まるのも当然で、興行界では早くも前作越えのオープニングを期待されているようですが、そこは秘密主義のキャメロン監督、公式に発表されているのはわずかなビジュアルとストーリーの情報だけで、作品の全貌は未だ秘密のベールに包まれています。劇場で同時公開される日本語吹替え版についても然りで、まあメインキャストは前作と同じで東地宏樹さんや小松由佳さんが続投するんだろうなあ、ぐらいしか想像できません。
しかしながら予告編を観ただけでも前作を上回る驚異の映像が展開しているのは確実で、これは劇場に駆けつけるしかありません。その際はぜひ日本語吹替え版をよろしくお願いします(さすがに3時間10分の長尺を3Dメガネ+字幕はちょっとシンドイ…)。
⇒日本語吹替え版のスタッフ・キャストはこちら

 

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吉田Dのオススメふきカエル
言わずと知れたジョン・カーペンター監督の大傑作ですが、実は特殊効果を担当したのがジェームズ・キャメロン。吹替え版のカート・ラッセル=青野武さんも名演です。「スネークと呼べ!」