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『スパイは戦場に復帰し、怪盗は21世紀に甦る』

いまだ終息しないコロナ禍ですが、ワクチンの接種が進んだのと人々の行動様式が変わってきたことで、世界は“コロナと共存しながらかつての社会活動を取り戻す”方向へ舵を切りました。映画界でも様々な新ルールの下、多くの新作が公開されつつあります。
だーがしかし。どんなにワクチン接種が進もうと第5波が収まろうと、“俺たちの緊急事態宣言”は決して明けてはいなかったのだ。そう、“彼”が帰ってくるまでは。そして、ついにーー

吉田Pのオススメふきカエル

『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』
監督:キャリー・フクナガ
出演:ダニエル・クレイグ ラミ・マレック
10月1日より全国ロードショー
→ 公式サイト
 

現役を退きジャマイカで穏やかな生活を送っていたボンドのもとに、CIA出身の旧友フィリックス・ライターが助けを求めにやってきたことから、平穏な日常は終わりを告げる。誘拐された科学者を救出するという任務に就いたボンドは、その過酷なミッションの中で、世界に脅威をもたらす最新技術を有した黒幕を追うことになるが…
 
 

いやー待った待った。待ちました。巌流島の佐々木小次郎だってここまで待ってないよ。考えてみたら007を映画館で観始めた中学生の頃から今に至るまで、前作との間が6年も空くなんて『消されたライセンス』から『ゴールデンアイ』までの空白期間以来ですよ。あの時は権利問題やボンド役の交代といった大人の事情だったのでこちらも「まあ仕方なかんべえ」と気長に待つぐらいの分別を持てたわけですが、今回は事情が違う。だって作品自体はもうできあがってるんだもん。当初は2020年2月公開(それでも『スペクター』から4年も空いてますけどね)の予定だったのがにっくきコロナ禍のせいで延びに延び、このほどついに公開の運びとなりました。

ダニエル・クレイグがジェームズ・ボンドを演じるのはこれが5作目にして最後。クレイグ・ボンドの特徴は「基本的に続き物のお話しである」ことで、本作も『スカイフォール』から始まる流れを継ぎ、前作『スペクター』の直接の続編となっています。前作のラストで愛するマドレーヌと生きるためMI6を去っていったボンドですが、そう簡単に足を洗えないのがスパイの悲しい性で(そういえばこの人『スカイフォール』のときも一旦やめて出戻ってたよね)再び世界を襲う新たな脅威に立ち向かうことに。

今回の敵は謎のテロリスト、サフィン。「人類を淘汰すれば世界はより良くなる」なんてどっかで聞いたような理由で大量虐殺を企みます。あんたは『アベンジャーズ』のサノスか。演じるのは『ボヘミアン・ラプソディ』のフレディ・マーキュリー役で、見事アカデミー賞主演男優賞に輝いたラミ・マレック。歴代の悪役たちの中では若めではありますが、近年のヴィランはル・シッフルにしろブロフェルドにしろ「結局世の中銭や!」という経済マフィアみたいな手合いが多かったので、本作のように「私が世界を滅ぼすのだ!がはははは」なんて誇大妄想気味な奴が出てくると、自分のような古参のファンは「あー007だなー」と嬉しくなるのよ。期待してまっせ。

そしてもちろん日本語吹替え版も同時公開。ボンド=藤真秀、マドレーヌ=園崎未恵をはじめ前作までのレギュラー陣はもちろん続投。そこに加えてサフィン役の中井和哉から水樹奈々、浪川大輔といった人気どころに至る、隅から隅まで“間違いない”キャストが揃いました。ボンド映画史上最長(なんと163分!『ロード・オブ・ザ・リング』か!)でクレイグ・ボンドのフィナーレを飾る本作を、名声優たちによる吹替え版で是非見届けてください。
日本語版吹替キャストはこちら→話題のふきカエ『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』

 

吉田Pのオススメふきカエル

『ルパン三世 カリオストロの城』
監督:宮崎駿
声の出演:山田康雄 島本須美
10月1日より全国ロードショー
→ 公式サイト

国営カジノから盗み出した大金がゴート札と呼ばれる偽札であることに気づいたルパンと次元は、その秘密を探るためカリオストロ公国へ向かう。そこでは国を治める公爵家の息女クラリスとカリオストロ伯爵の結婚式が行われようとしていた。式の準備から逃げてきたクラリスを偶然助けたルパンたちは、両家の婚姻の裏に潜む巨大な陰謀に挑むことになる…
  

みんな大好きルパン三世の、シリーズ史上最高作の呼び声も高い名編。アニメなので厳密に言えば“ふきカエ”ではないけれど、錚々たる名声優たちの競演はふきカエファンとしても見過ごせません。4K/7.1chでリマスターされたバージョンを劇場のスクリーンで再見できるとなれば尚のこと。

内容については今更ご紹介するまでもない宮崎駿監督の“ジブリ以前”の大傑作。ルパン三世というシリーズはそのフォーマットを使って多くの監督やアニメーターがそれぞれの個性を発揮した作品を作ってきたわけですが、宮崎監督が手掛けた本作はまさに“まんが映画”の王道を行く冒険活劇でありまして、まあとにかく動く動く。冒頭のカジノ強盗シーンでの“横移動”に時計塔でルパンと伯爵が対決する場面での“縦移動”と、文字通り縦横無尽に展開するアクションの連続は何度見てもワクワクします。たぶん初公開時から今までにリバイバルやテレビ放映で何十回と観て台詞なんかほぼおぼえちゃってるのに、もう全然飽きない。自分にとって永遠のマスターピースなのです、この映画は。

そんな映像の面白さに加えて本作の魅力となっているのは、そのキャラクターに息吹を吹き込んだ数多の名声優たち。お馴染みルパンファミリーはもちろんのこと、可憐なクラリス島本須美さん、冷徹かつ重厚なカリオストロ石田太郎さん、老獪にして狡猾なジョドー永井一郎さん。ルパンの山田康雄さん、銭形の納谷悟朗さんを含め出演された方の多くが今では鬼籍に入られてしまいましたが、その素晴らしいキャラクターたちは作品の中で永遠に生きています。奇しくも先日、最後のオリジナルキャストである小林清志氏が次元大介役から勇退されることが発表されたばかり。後を継ぐ大塚明夫氏のお父様はご存知の通りテレビシリーズ第一期の五エ門こと大塚周夫さんで、父子二代に渡るルパンファミリーとなりました。

放送開始から50年を経たこの10月からは待望のシリーズPART6も放送されます。ぜひ劇場のスクリーンとテレビ画面の両方で、アニメ史上屈指の名作をご堪能ください!

 

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吉田Pのオススメふきカエル
ルパン三世のモデルにして007にも影響を与えた傑作の数々。仏映画界を代表するアクションスターは惜しくも先日88歳で没。アデュー、ベベル。