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『あの人とアノ人がガチンコ対決!生き残るのはどっちだ?』

…なんてちょっと物騒なタイトルで煽り気味に始まっておりますが、そのぐらい手に汗握ってご覧いただきたいのが今回ご紹介するこの作品…って、実は9月の飯森氏のコラムで既にご紹介済みなんですが。いやね、この第一報を聞いたときから「お!これはコラムのネタに使える!」と思ってたもので、正直焼き直し感はあるんですけど、まあ書き手の立ち位置によって見方も変わりますよ、ということでしばしおつき合いください。

吉田Pのオススメふきカエル

『ジェミニマン』

監督:アン・リー
声の出演:ウィル・スミス メアリー・エリザベス・ウィンスレット
10月25日公開
→ 公式サイト

史上最強とうたわれるスナイパーのヘンリーは政府に依頼されたミッションを遂行中、何者かに襲撃される。自分の動きをすべて把握し、神出鬼没な謎の襲撃者の正体は、秘密裏に作られた若い頃のヘンリーのクローンだった。その衝撃の事実を知ったヘンリーは、アメリカ国防情報局の捜査官ダニーの協力を得ながら、政府を巻き込む巨大な陰謀の渦中へと身を投じていく…

ふきカエの世界には世間で言うところの“持ち役”というのがございます。この俳優の声にはこの声優さん、という定番のこと。例えばシュワルツェネッガー=玄田哲章、ジャッキー・チェン=石丸博也あたりは鉄板中の鉄板キャストですが、中には一人の俳優に複数の声優さんがいらっしゃることも。スタローンなら羽佐間道夫さんとささきいさおさん、ハリソン・フォードなら村井國夫さんと磯部勉さんといった具合に、その時の役柄や設定年齢等で担当声優が代わるケースですね。

本作に主演しているウィル・スミスもその一人。これまで多くの声優さんが担当してきましたが、近年ではほぼ江原正士・東地宏樹・山寺宏一の三人で持ち回りの状態でした。そして迎えた今回の新作。いやーすごいよー当節のCGは。主役のウィル・スミスをもう一人作っちゃって、そっちは本人より25年若くなってて、その二人が同じ画面で共演しちゃってるわけですから。もう何でもアリですわ。でもちょっと待って。これ吹替え版はどうすんの?

まあ普通だったら前述の三人の中から誰か一人にやってもらいます。だってあちらさんは一人で二役やってるんだから、こっちもソレで、と。でもちょーっと待ってくださいな。あちらは今のウィルと若いウィルを一人で演じてる。世界広しといえどもウィル・スミスは一人っきゃいないんですから、そりゃ当然です。でも待てよ、わが国には声のウィル・スミスが何人もいるじゃあないの!だったらーー

吉田Pのオススメふきカエル

そしてまあ、こういうことに相成りました→→→

いやいやいや、確かにこれまでも映画の公開時に日本語版のキャストを前面に出した宣伝展開は多々ありましたよ。でもそれらのほとんどはタレントだったり俳優だったり、つまり“顔が出てナンボ”の方々だったわけです。もちろんタレントとしての山ちゃんはお茶の間の人気者ですし、江原さんもかつては多数のドラマに出演し深夜番組の司会もやってたぐらいですから、顔出しで宣伝するバリューも充分あります。…にしても、ココまでやるとはw

山寺宏一と江原正士といえばふきカエの世界では人気・実力ともまさにトップクラスです。このお二人がWで主演を務めるとなれば我々業界の人間からすれば大ニュースなわけですが、でも世間一般からしたらタレントさんとかのほうが通りはいいよね、という“常識”を見事に覆してくれた今回の宣伝戦略。いやよくぞやってくださいました東和ピクチャーズさん!一生ついていきます!

 

吉田Pのオススメふきカエル

『IT イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』

監督:アンディ・ムスキエティ
出演:ジェームズ・マカヴォイ ジェシカ・チェステイン
11月1日公開
→ 公式サイト

前作から27年後。小さな田舎町で再び連続児童失踪事件が起こり、「COME HOME COME HOME(帰っておいで……)」という、「それ」からの不穏なメッセージが届く。幼少時代に「それ」の恐怖から生き延びたルーザーズ・クラブの仲間たちは、27年前に誓った約束を果たすため、町に戻ることを決意するが…
 
 

そして、この秋に公開される話題のふきカエ作品をもう一本。
一昨年に公開された『IT イット “それ”が見えたら、終わり。』の続編にして完結編です。前作で殺人ピエロと闘った少年少女たちが大人になり、またも姿を現した「それ」と対決する物語。スティーヴン・キングの原作は文庫にして全四巻に渡る大長編であり、今回の完結編もそれを受けて上映時間2時間45分という大作となりました。

吉田Pのオススメふきカエル

大人になったかつての少年少女を演じる主要キャストはジェームズ・マカヴォイとジェシカ・チャステイン。あれーこの並び最近どっかで見たぞーと思ったらコレでした→→→

6月に公開された『X-MEN: ダーク・フェニックス』で、マカヴォイはもちろんプロフェッサーX、チャステインは敵となるヴィランで共演していたのですね。単独ならまだしも二人そろった映画が半年の間に続けて公開されちゃうんですから、さすが売れっ子は違いますな。ちなみにジェシカのほうは原作である『IT/イット』の大ファンで、本人から売り込んで今回の役を射止めたとか。

そんなふたりのミュータント(!)を相手にするのがシリーズの主役とも言える殺人ピエロ、ペニーワイズ。ピエロというのはアメリカでは子供たちの人気者で、よく誕生日のパーティーに呼ばれたりするんですが、それが実は恐ろしい殺人鬼だったという設定も一周回ってもはや定番。今回も前作と同じく二枚目俳優ビル・スカルスガルドが、華の素顔をメイクに隠して不気味に演じています。そして吹替え版でその声を担当するのが、我らが多田野曜平氏。海外アニメではよくぶっ飛んだ三枚目キャラを演じている彼が殺人鬼というのは、コメディアンであるはずのピエロが実は…という設定とシンクロしていて、何とも理にかなったキャスティングだなあと感心した次第です。是非とも面白コワイ名調子で、2時間45分の恐怖の旅へ連れて行っていただきましょう。
前作『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』の日本語版吹替キャストはこちら→話題のふきカエ

実は前述の江原さんと多田野さんは今を去ること三年前、当ふきカエル大作戦の関連企画である“凄ワザ”吹替えプロジェクト『危険戦隊デンジャー5』で共演していただきました。アドリブ満載のハチャメチャな現場でお二人が吹替えたキャラはなんと十数役(笑)…とんでもない無理難題を見事にこなしてしまう“芝居力”にはまさに脱帽したものです。今回ご紹介した二作品で、そんなプロフェッショナルの技を堪能してください。