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パンパシフィック伝言ゲームに敗退!

飯森盛良のふきカエ考古学

懐かしふきカエを発掘して再度お茶の間にお届けしている当チャンネル。視聴者の皆様から沢山のリクエストやお叱りの声をいただきます。リクエストには、お応えできるものと、できないものがありまして、お応えできない理由のうち一番決定的でどうしようもないのは、「懐かしふきカエのテープがもう無い」というもの。2~30年ぐらい前にTVで放送されたテープを発掘してこようというのですから、もう無くなっちゃってた、というケースだって少なくありません。

そうそう、こんなこともありました。とある映画を放送したいなぁと思って、権利者に問い合わせてみたところ、「素材、1タイプだけなら保管があります」との返事があり、テープを取り寄せて中身を確認すると、SDの昔のTV版ドンピシャずばりで、まさしくこちらが望んでいたもの。よし、これを放送しよう!と、さっそく手続きと作業を進めることにしたのであります。これ、ワタクシの発掘作業のいつもの流れ。

それがその映画、最近どうやら他チャンネルさんの方でHD版が制作されていたらしいという衝撃の事実に途中で気づいてしまった。新たにHDマスターテープの画に昔のふきカエ音声だけをかぶせたキレイな画質のものがあって、さらに、昔の懐かしふきカエ版はTV版ですから、もちろんカットされてるシーンがある訳ですが、他チャンネルさんはその欠損シーンの音声の追加収録まで行ったとのこと。

ワタクシが最初から追加収録HD版が存在することを知っていれば…。あるいは、権利者に問い合わせた時点で「素材、2タイプ保管があって、1つは大昔のTV版。もう1つはそれをもとに追加収録しHD化した最近の素材」と判ったら、「HD版の方を貸して!」となっていたでしょう。でも、それは今回、不可能だったのです。

ワタクシが話をしている「権利者」というのは、正しくは、日本で代理販売をしている日本の配給会社のことでありまして、そこに問い合わせて「素材、1タイプだけ保管があります」とSDカット版テープを貸してもらった訳ですけど、一方、他チャンネルさんの方は、日本の代理店を通さず、本国の権利元と直接やりとりしていた。ということで、彼らが作ったノーカット追加収録HD版の存在を、日本の代理店が把握してなくてもこの場合は当然なのです。

ちなみに前にも書きましたが、他チャンネルさんが作られた、このノーカット追加収録HD版ですが、だからといってそれがそのチャンネルさんの持ち物になる訳ではありません。せっかくお金かけて作る訳ですが、作ったテープの持ち主はあくまで映画の権利者になるのです(そもそも作る前に権利者の許諾が必須)。

さぁ、こうなると、「そのノーカットHD版の方を放送したいんですけど…」というワタクシの要望は、①ウチのチャンネル→②日本の代理店→③他チャンネルさんへ、さらに他チャンネルさんから④本国権利元の窓口部署(第三国)→⑤本当の本国権利元へ、「ザ・シネマにテープを貸し出してもいいか?」と話が伝わっていくことになるのですが、プレイヤー5人による3ヶ国を股にかけたパンパシフィック伝言ゲームということで、時間かかりまくりなのです!

結局、今回は時間切れで、今、確実に手元にある、日本の代理店から貸してもらった大昔のSDカット版の方を放送せざるをえないことになってしまった、という次第であります。

懐かしふきカエ愛好家の諸兄諸姉は、皆様たいへんお詳しいので、ワタクシきっと、「ノーカットHD追加収録版を他チャンネルがこないだ制作してるのに、なんでそっちを放送しないんだ!」と、お叱りを受けることになるでしょう…しかし、実は水面下で、このような息詰まる熾烈な攻防が、日米間を股にかけ日々繰り広げられているのだ、ということを、今回は皆々様に縷々訴えたかったのであります。なお、これを一言で「言い訳」と申します。

以上、なんとも残念なお知らせでした。ヘタ打ったなぁ…。これだけだとナンですので、ポジティブな情報も最後にサラっと。2月、『マーキュリー・ライジング』と『ジャッカル』のふきカエ版、やります!

ってお詳しい諸兄諸姉から「それ前月にもやってただろ!再放送じゃないか!!」とさらにお叱りを受けそうですが、『マーキュリー・ライジング』は前月まで昔のSDテープで放送していたものを、新たにHD化してお届けすることにします。嗚呼お金かかった!それと『ジャッカル』は、今までDVDふきカエ版を放送してきましたが(1月にも放送してます)、昔の懐かしTV洋画劇場リスペクトを公言して憚らない当チャンネルとして、日テレ金曜ロードショー版も、2月限定でやります。どちらもブルース・ウィリスをあの野沢那智さんがアテられたバージョンで、ソフト未収録のレア音源ですよ!お聴き逃しなく!!

ザ・シネマふきカエFacebookもよろしく。)

飯森盛良のふきカエ考古学