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ザ・シネマ新録版『マッドマックス 怒りのデス・ロード(以降MMFR)』では「フュリオサ大隊長」が「インペラートル・フュリオサ」になってる!?の巻

マッドマックス 怒りのデス・ロード

6/23、ザ・シネマ新録ふきカエ版MMFRの収録を終えてきました。いや〜皆さん!こぉれは大いにお喜びいただける仕上がりになりそうですよ!? 初回放送は2019/7/27。土曜なんで、まぁ見て!あと8月にも再放送あるけど、それでお終い!以降の再放送は予定しておらず、ソフト収録の話も、少なくとも現時点では一切聞いてません。ゆめゆめお見逃しなく!!

さて、今回は、ザ・シネマ新録ふきカエ版MMFRのキャラクター名について、書かせてください。

人食い男爵、武器将軍、フュリオサ大隊長の3キャラ。

「人食い男爵」と「武器将軍」、これは、素っ晴らしいキャラ名でしたなぁ!原語はただの「ピープル・イーター」と「バレット・ファーマー」なので、意訳、と言うか“超訳”の域です。男爵とか将軍とかいうニュアンスは原語には含まれてない。でも、この遊び感、世紀末感、「力こそが正義!いい時代になったものだ」感のかもしっぷり、最高っすわ!! ワタクシも個人的にも愛着がある。じゃあなんで変えちゃうのか!?

これは旧版の翻訳家アンゼたかしさんによる、神がかった“超訳”なのですが、あまりにも創造性と作家性が注魂されまくっていて、ほとんど©案件と言ってもいい。これをそのまんまウチでパクっちゃうのは、さすがに憚られました。

ということでウチの方ではここは正攻法に、バレット・ファーマーを「弾丸農家(CV:千葉繁)」、ピープル・イーターを「人肉喰らい(CV:斎藤志郎)」と、直訳で行かせていただきます。キャラ名をウチが勝手に変えるわけではなく、元に戻した、と思ってください。キャラ名では遊ばず、斎藤さん千葉さんにお声で遊んでもらいました。両御大が存分に暴れまくるので、ご期待あれ!

なおMMFRアンゼ翻訳については、アンゼさんご本人が取材を受け過去に語っておいでなので(ココ [マイナビニュースへリンク])熟読をお勧めします。

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もう一つ、「フュリオサ大隊長」。これを「インペラートル・フュリオサ」にしております(CV:本田貴子)。ここは別に独創性うんぬんは無いのでそのまま行けたんですが、あえて変更を要望し、これだけは譲れない、職を賭してでもやる!(いや、もう辞めてんだが…)と言い張ったのは、誰あろうワタクシでございまして、「インペラートル」気に入らん、という方は、クレームは全部ワタクシの方までお寄せください…。

これもまぁ、原語Imperator ​Furiosaどおりなんです。もはや直訳すら放棄しカタカナ語まんま。意味もさっぱり解らないし。「それでもいいから!」と強硬に譲らなかったんですな、ワタクシは。ワケあって。

インペラートルとは何ぞや!? 実はなんと、アメリカ人観客(オーストラリア人?)の大半も「インペラートル・フュリオサ」と聞いても意味はよく解らんらしい。ネイティヴの人からそう聞きました。ちんぷんかんぷんで正解なんです。

ただ、サッパリ意味不明というワケでもなくて、日本語だと「左大臣」とか「太政大臣」とかの感じ?意味は解らないけど昔の偉そうな官位?役職?なんでしょ?ってぐらいな理解度。

インペラートル、世界史の偏差値が高かった人なら、もしかしたら覚えてるかもしれません。

これ、共和政ローマの称号なんですな。だからラテン語(古代ローマ語)。共和政ローマの国会にあたる元老院によって「命令権(インペリウム)」を与えられ、地方に派遣されて軍団を率いていた役職なので、しいて言うなら「将軍」とか「司令官」って感じですかね?まぁ、だから「フュリオサ大隊長」でも、全然間違ってはないです。正確!

[試験によく出る①]
さてこのインペラートル、戦争に勝って戦地から帰還すると、ローマ市民総出で「インペラートル!インペラートル!万歳!バンザーーーーイっ!!」と、大歓声で迎えられました。英雄です。よく古代ローマが舞台の歴史映画でお約束的に描かれますよね、凱旋パレードのシーン。あれです。ここはMMFR試験に出ます!要アンダーライン。

[試験によく出る②]
そしてインペラートルの座は、それだけの人気を背景に、軍政上の最高指導者へと権威が高まっていき、最終的には帝政ローマの皇帝の地位まで発展していきます。そう、インペラートルが「エンペラー」の語源なのです!エンペラー⇆インペラー(トルは取る)、かなり被るでしょ?ここも要アンダーライン。試験に出ます。

[ちょっとトリビア]
ローマ元老院が「命令権(インペリウム)」を与えたインペラートルを代官として派遣できるのは、ローマの勢力圏内ですよね?全く関係ない他国に派遣はできません。この範囲をラテン語で「インペリウム・ロマーヌム(Imperium Romanum)」と言います。これを思いっきり英語訛りで読むと「エンパイア・ローマン」になる。そう、これローマ帝国の語源なんです!が、これはMMFR試験には出ません。単なるトリビア。

[試験によく出る③]
そして「帝国」とは、複数の民族、王国、文化圏を傘下におさめ、それらを支配する統治システムのことをさします。ローマ帝国も大英帝国も大日本帝国も「帝国」と言ったら必ずこの条件に当てはまりますよね?それが「帝国」の定義だからです。「帝国」すなわち複数の領域、それらの頂点に立って全てを統べる統治者のことを「エンペラー」と呼ぶのです。ここは特に二重アンダーライン。MMFR試験に出ます。

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と、いうワケで、ザ・シネマ新録ふきカエ版MMFRでは、フュリオサ大隊長を「インペラートル・フュリオサ」と呼ぶことにしたのです。言葉にここまでの背景を持たせるためには、こうするしかなかった。日本語訳を放棄し、原語のまんま。いや、実は英語だとImperatorは「インペレイター」と訛って発音するのですが、ここは訛らずあえて古代ローマのラテン語のまんま「インペラートル」を採用しています。

もっとも、「イモータン・ジョー」にしたって、日本語訳できないカタカナまんま語なんですけどね。「イモータン」は「イモータル(immortal)」と被ります。イモータルとは「不死の」という意味の形容詞で、特にギリシア神話の神々のことをさします。反義語の「モータル」は「死すべきさだめの存在」という意味で、要は、ただの人間のこと。だから「イモータン」の肩書きには、「不死の」、「定命ではない」、「神々のような無限の命を持つ」というニュアンスが込められているのですが、そんなもん日本語に訳しようがねえよ!というのと、「不死身のジョー」なんて訳すのもダサすぎなので、カタカナ語まんまなのでしょう。今後は「イモータン・ジョー」と同じノリで「インペラートル・フュリオサ」と、ワンセットの固有名詞として認識していただければ幸いです。

ここまで、小難しいようなウンチクをあれこれ書き連ねてきましたが、アメリカ人でもImperatorが古代ローマの官職名だとは知りません。台本にもわざわざ「Imperator: 司令官のこと…共和政ローマにおいて凱旋将軍に贈られた称号」と説明が記されているほどですから、もしかしたらシャーリーズ・セロン本人も知らない単語だったかもしれない。だから、以上のウンチクは全部忘れていただいても結構。そもそも何も知らずに見ても、全く問題ありません。本国でもそういう観客の方も多いですし、それで作品理解に支障をきたすことは一切ありません。

ただ、もしよろしければ、以上の「インペラートル」とは何ぞや!?のウンチクを踏まえた上で、ザ・シネマ新録ふきカエ版MMFRはお楽しみいただければ、それはプロデューサーのワタクシの狙いどおりであり、本望です。

最後に、まとめ。これだけでも頭の片隅に置いときながら映画をご鑑賞いただければ幸い。あと学生の皆さん、世界史の試験でこれ本当に出るかもよ!? 覚えてね!

[まとめ]
「インペラートル」は、戦争に勝って凱旋すると英雄として市民に歓呼で迎えられた。その人気と権限を背景に「インペラートル」は後に「エンペラー」という地位となり、幾つもの民族、領域、文化圏を従え、その頂点に君臨して統治した(古代ローマではね。ローマ時代の話ね、これ)。

[筆記問題]
映画の後で、フュリオサはどうなったと思いますか?200文字以内で自由に述べなさい。ただし必ず「インペラートル」、「帝国」、「エンペラー(エンプレスでも可)」の3つの言葉を用いること。

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』© Warner Bros. Feature Productions Pty Limited, Village Roadshow Films North America Inc., and Ratpac-Dune Entertainment LLC