アニメ『鉄腕アトム』で“お茶の水博士”の吹替えを担当し、声優の草分け的存在になった勝田久さんによる著作「昭和声優列伝 テレビ草創期を声でささえた名優たち」が出版されました。

勝田久さんの自伝「そして声優が始まった」と、戦後から高度経済成長期にかけて日本の大衆文化を支えた人気声優32人の証言集「声優列伝」の2部構成!

今回ふきカエルでは、勝田久さんに著作についてのお話しを伺いました!
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※プレゼントの応募方法等詳細はページ下部をご覧ください。
勝田久さんインタビュー

——この本「昭和声優列伝」の執筆を思い立った理由は?
勝田久さん:世に歴史があるように、声優にも歴史があり、それを伝えていく使命があると思ったからです。
大正14年、東京芝浦で産声を上げたラジオ局の電波は、たちまち日本中を駆け抜け人気者になってしまいました。更に、テレビの時代へと発展。90年もの間、声優は放送という電波の世界に生き続けています。陽の当たらないスタジオで、マイク前でひたすら働く若者の姿を、次世代に伝えていくのも声優の使命かと思います。
書ききれなかったこともたくさんあるので、次も出したいと思っています!

——本に取り上げられたたくさんの声優さんの中で、親交のあった方、仲の良かった方はいらっしゃいますか?
熊倉一雄さんです。
出会いは熊倉さんが劇団東芸の研究生でいらした時です。阿木翁助先生の『わが大学にある日々は』の公演で共演しました。
彼は本当に面白い人で、それにとても器用な人でした。翻訳も出来る人で、俳優・声優としても尊敬していました。
僕の初アテレコとなったTVドラマの『海賊船サルタナ』や彼がヒッチコックを吹替えていた『ヒッチコック劇場』の収録の時に声を掛けてもらいました。“クマちゃん”あっての私です。
2015年に亡くなってしまったことが本当に残念でした。

——本に取り上げられた声優さんでは、どなたが一番印象に残っていますか?
青野武さんですね。
北海道から出てきて涙ぐましい努力をしていました。
東京のヤツはダメですねぇ(笑)。(※勝田さんは東京出身)
彼は仕事の合間をぬって、新宿の繁華街でサンドイッチマンをしたりしてがんばっていました。
TVドラマの『じゃじゃ馬億万長者』での共演がとても印象的でした。

——勝田さんの声優時代で印象に残っているエピソードを教えてください。
昭和声優列伝 (お茶の水博士の声優 勝田久が贈る)昔は、真夏でも冷房も無いスタジオに押し込められて収録をしていました。男はパンツ一丁になってね(笑)。女性も同じような恰好になっていたかもしれませんが、そんなこと全然覚えていなくてね。それだけ仕事に集中していたのですね。
NGを出したら、頭から戻ってやり直しなので、特に新人の頃はビクビクしながら仕事をしていました。
当時は翻訳も時間がかかってね。先程も言いましたが、熊倉さんは翻訳も上手かった。小林清志さんも、実は翻訳が上手いのですよ。隠していたけど上手かった。
彼らのような翻訳家がいない時は、声優みんなで集まって翻訳をしてね。原語で「Good Luck」というセリフが、「お前の幸運を祈る」なんて訳されていた!これでは長すぎて画と合わない(笑)。誰かが“「達者でな」はどうだ?”って提案して、“「それだっ」”て決まったりしてましたよ。
アニメの『鉄腕アトム』で“お茶の水博士”を演じたきっかけはオーディションでした。おそらく50人くらいが受けていたようですね。なかなか決まらず、手塚治虫先生が「私が演ります!」なんて怒っていたくらいで。元旦の放送なのに12月25日くらいにオーディションを受けましたよ。
それからお仕事をいただけることになって、31日に収録をして、元旦に放送が出来ました。
『アトム』では収録の時に、画が間に合っていないこともありましてねぇ。吹替えをする時は、参考資料を読んだり、演じる人物の服装や精神状態も考えてから臨むので、難しいことがありましたね。
台本に「何?」というセリフがあったので、普通に平坦に喋って収録をしてね。それで放送を見たら目を剥いて驚いているシーンでね(笑)。「なにーっ!?」とすべきだった、ということもありました。
録音の前日のタイミングで依頼がくるようなこともあって、『大脱走』という映画のドナルド・プレザンス役(※フジテレビ版を勝田さんが吹替え)なんかそうじゃなかったかな。クセのある人物だと、“困った時の勝田”なんて感じで役をいただくこともありました(笑)。

——第二部「声優列伝」では非常に貴重なお話しが数多く掲載されていますが、人気声優さんからお話しを伺う際に苦労された部分はありますか?
全くありませんでした。
声優さんの中には、インタビューを録音することを嫌う方もいたので、僕自身がヒアリングしていました。
書くことも好きなので、とても楽しくできました。

——勝田さんのお好きな吹替え作品を教えてください。
『サーフサイド6』(リー・パタースンが演じたデーブ・ソーン役を勝田さんが吹替え)、『じゃじゃ馬億万長者』(レイモンド・ベイリーが演じたドライスデール役を勝田さんが吹替え)ですね。
(※1962年から放送されたモノクロ版で、勝田さんはドライスデールの吹替えを担当していたが、その放送途中で他の仕事を優先しなければならなくなり、後任を大塚周夫さんが務めた。)
『サーフサイド6』は女性のファッションが凝っていてよかったですね。
フロリダに旅行した時に、作品の舞台となった場所を巡ってみたり楽しかったです。作品と同様にボートに乗ろうと、港に行ってみたら、船が一艘も無くてね。“どうしたの?”ときいてみたら、前の年に法律が改正されていて。船の停泊が出来なくなったって。残念でしたね。

——「ふきカエル」は声優を目指す方にも多く見られています。吹替えというお仕事で一番大切にしなければならないものは何ですか?
人間を創造する仕事ですから、声優とは単色ではいけません。
演ずるキャラクターの外見や立場、心理を理解し、必要に応じてどの色も使えることが大事です。
プロを目指すなら「その道、険し」です。

——勝田声優学院で印象に残っている生徒さんがいらしたらお教えください。
森川智之、高木渉。彼らは5期生として、引っ張ってくれていた。
8期の関智一も勘がいいね。

俳協時代の教え子ですが山寺宏一は天才でしたね。すごいものを持っていました。

——この本をご購入された方へのメッセージをお願いいたします。
ご購入いただき、誠にありがとうございます。楽しく読んでください。
本書を読んで、声優の仕事について知っていただければ幸いです。

「昭和声優列伝 テレビ草創期を声でささえた名優たち」
出版社: 駒草出版
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昭和声優列伝 (お茶の水博士の声優 勝田久が贈る)